6月の読書記録~14冊3275頁、1日109頁(読書メーター)

11 7月

6月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:3275
ナイス数:474

無花果の実のなるころに無花果の実のなるころに感想
祖母のお蔦さんと孫の望との関係が穏やかでいいな。望の作る料理などを一緒にいただきたいものだ。お蔦さんの周りに集まる商店街の人たちの暖かな様子も伝わり、読んでいる私も穏やかになれそう。そんな中で起こるちょっとした出来事をお蔦さんと望が解決に導く。人情味に溢れた物語に癒やされた。表題作など6短編。「シナガワ戦争」の八馬のおやじさんなら息子も立ち直れそうでホッとする。
読了日:06月28日 著者:西條 奈加
ベスト・オブ対訳サザエさん 青版 オリンピックの時代 The Best of Sazae-san (KODANSHA ENGLISH LIBRARY)ベスト・オブ対訳サザエさん 青版 オリンピックの時代 The Best of Sazae-san (KODANSHA ENGLISH LIBRARY)感想
初めて漫画の対訳本を手にしてみる。磯野家のような英会話ができたら楽しいだろうなと思いつつ。さすがに文庫版だと吹き出しの英語文が還暦を過ぎたものには厳しい。堪能な方ならスペルもひと目でわかるのだろうが、一つずつのスペルを拾うものには、読みにくかった。途中から本をスキャンしてスマホに入れて読むことにした。これで読みにくいところは拡大もできたので最後まで読めた。対訳も横の欄外、熟語などの説明は下の欄外にありがたかった。
読了日:06月24日 著者:長谷川 町子
神様の裏の顔神様の裏の顔感想
神様のような坪井先生。通夜の席で先生への思い出がひょんな展開に。先生のアパートの住民が先生との関わりを次々に思い出しながら悼んでいく。先生のよさがそれらで満たされていった頃から、本のタイトルが気になるような展開に。娘晴美と妹の友美?がそのひそひそ話を聞きつける。裏の顔はとんでもないものだった。よくもそんなことができたものだと唖然とするばかり。?まだ残り三分の一?そこからの展開もまたあっというものに。この先生は神様だったのか悪魔だったのか、悪魔を育ててきたのか?最後まで楽しめた。
読了日:06月24日 著者:藤崎 翔
とんちずもう―だいどころばしょとんちずもう―だいどころばしょ感想
子どもたちに言葉遊びの面白さを伝えるということで、落語家とイラストレーターで作られた絵本。どしどし、土俵な上げてもらいたいものだ。ただ、このだいどころばしょの中で、「じゃかいもとさといも」が「そとがけでさといものかち」がよくわからなかった。最後でも良いから解説みたいな説明があると言葉を知らない私にはありがたいのだが。
読了日:06月18日 著者:入船亭 扇里
Android Studio ではじめる Android プログラミング入門 第3版 Android Studio 2対応Android Studio ではじめる Android プログラミング入門 第3版 Android Studio 2対応感想
スマートファンのアプリに興味を持って本を開く。初めて出会うもので戸惑いも多かった。ただ2016年6月発行でAndroid Studio2に対応ということからか、ソースコードを見ながら入力してみてもエラー表示が出ることが続き、160ページほどでやめた。パソコンにインストールしたAndroid Studio3.4.1との違いなのかどうか、私にはわからないが、3分の1は読めたということにして、別の本を確かめたい。本となるとバージョンが変わると難しい。
読了日:06月17日 著者:掌田 津耶乃
望み望み感想
殺人事件をきっかけに親族の生活が一変してしまう。加害者、被害者どちらがいいのか? どちらもいいわけがないのだが、本作はそんなことも問うているのだろうか。被害者としてどう対応するのか? 加害者としてどうする? SNSでは情報が飛び交い、あたかも加害者のように扱われ、葬儀の席にも参列させてもらえない。事件にどのように関わったのか苦悶してきた後に被害者として息子を迎えた両親は加害者をも参列の席に受け入れようとする。息子の様子を通夜葬儀になって参列者から聞く両親の思いに目頭が熱くなった。
読了日:06月17日 著者:雫井 脩介
無罪無罪感想
刑法39条「心神喪失者の行為は、罰しない。②心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」。通り魔的殺人で「精神鑑定をして」の報道はこの条文に関係するのだ。殺人者の精神が異常なのは当然だと思う。精神鑑定はどう行われるのだろう。諸外国と同様の法というのだが。ましてや刑期後の再度の殺人など。遺族の気持ちや行動にも肯ける。一方、加害者の香織やその夫にも同情する。殺人も自殺もないのがよい。犠牲者が増えずよかったが、遺族、加害者側とも苦しみを少なく過ごすにはどうすればよいのだろう。大きな課題を投げかけられた小説だった。
読了日:06月14日 著者:深谷忠記
大家さんと僕大家さんと僕感想
大家さんとの生活が楽しそう。こんな素敵なおばあさま(失礼ですが)と関わりを持ちながら生活してると、少々仕事がうまく行かなくても救われそう。大家さんに見てもらいたくて仕事にも張り合いも出てきているみたいだし。漫才だけが仕事じゃないから、こういう漫画で自分の人生をきりひらけるのも羨ましいものです。今は矢部さんも大変かもしれないが、世の中の素敵なことをどしどし発見して、描いてほしいものです。そして当たり前に感じている私達に気づかせてください。
読了日:06月08日 著者:矢部 太郎
できるポケット Androidスマートフォン アプリ超事典1000[2015年版]スマートフォン&タブレット対応できるポケット Androidスマートフォン アプリ超事典1000[2015年版]スマートフォン&タブレット対応感想
アプリもたくさんあるものだ。細かく分類された項目ごとにイチオシのアプリが示されている。私もたくさんのアプリをインストールしているがその時の判断基準は、ダウンロード数とプレビューなどのコメントだ。こんなアプリもあるのかと使ってみるのもいいのだろう。
読了日:06月07日 著者:アンドロイダー
玉村警部補の巡礼玉村警部補の巡礼感想
四国88ヶ所のお遍路の巡礼をしながらの捜査旅。加納警視の抜け目のない経費使用と地位利用を行いながら、口悪く「詐欺師・空海坊主」とか札所に対しての発言には、「えっ!そんなこと言って大丈夫なの?」と心配してしまう。玉村警部補との凸凹コンビが深刻な事件さえも忘れさせてくれる。きちんとお遍路の旅をしたかったタマにとってはたまらない同行二人だったが、抜け目なく捜査してる加納警視の手腕発揮はお見事。
読了日:06月07日 著者:海堂 尊
葉っぱのフレディ―いのちの旅葉っぱのフレディ―いのちの旅感想
若宮正子さんの本にも「まだ経験したことがないことはこわい・・・"いのち"は永遠に生きている」の一節があり、また読みたくなった。「子どもと、子どもの心をもった大人」に「生きるとは」「死とはなんだろう」と問いかけています。緑の葉から紅葉し、見る人を楽しませていったフレディ。木から落ちていく仲間を見ながら死にたくない、怖い、と。人生、いのちの意味を問いかけてきます。葉としての命は終わっても土の上に落ち、分解され、虫や木やその他の「いのち」に生まれ変わる。人もまた、そうだ。絵本という形の哲学書でもある。
読了日:06月04日 著者:レオ バスカーリア
60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。感想
こういう方の本を読むと自分も何か挑戦してみよう、今やっていることも楽しみながら取り組んでみようと思います。スマホのアプリを作成したというのも大いに惹かれて、本を読みました。「自分で学ぶ力があれば、どんな時代も生きていける」「好奇心は最大のエネルギー」「笑われたら、一緒に笑えばいい」と、やりたいことをやっていこう、「新しい世界があなたを待っている」そいう未来を見てみたいものです。
読了日:06月04日 著者:若宮 正子
望遠ニッポン見聞録 (幻冬舎文庫)望遠ニッポン見聞録 (幻冬舎文庫)感想
「テルマエ・ロマエ」の作者。映画とTVトークショーでの面白さから読む。海外生活の中から日本、日本人を望遠。日常生活を改めて楽しく考えさせられた。ディスカッションも低学年から口頭試問で育まれているとは。日本の、弱い部分と電気製品だとか歯科医の技術力などの素晴らしさも表されていた。ヤマザキマリさんのエネルギーに圧倒された。幼少期の北海道のスケートの時間の大変さに可笑しみとともに同情も。興味、強化、楽しみ、生活の中でいろんなことにどう向かうのか、多くの視点で絵とともに描かれていてよかった。
読了日:06月03日 著者:ヤマザキ マリ
ねこのほそみち ―春夏秋冬にゃーねこのほそみち ―春夏秋冬にゃー感想
俳句好き、猫好き、エッセー・小説好きな人におすすめ。猫が登場する90弱の俳句を取り上げ、ねこまきさんの漫画が1ページ、堀本さんの解説が1ページという体裁である。堀本さんは4月から第4日曜日ののNHK俳句「俳句さく咲く」の先生と登場されていて、読みたくなり手にした。1つの俳句の解説というよりも、ショートストーリーが作られている。17音からこれだけの物語ができあがるなんて凄い。こんな物語が作れるような俳句を作ってみたいものだ。小林一茶・正岡子規と堀本さん位しか作者は知らないが面白かった。
読了日:06月01日 著者:堀本 裕樹,ねこまき(ミューズワーク)

読書メーター

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5月の読書記録(読書メーター)13冊、3330ページ、107頁/日

26 6月

5月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3330
ナイス数:423

毒 poison毒 poison感想
手にしたくないタイトルだが、妻に続いて読む。DVの患者、脳出血から半身麻痺になった患者と医師、看護師らの物語。「邪悪この上ない」DVの患者の傍若無人な言動は酷く、家族の苦労に心痛む。半身麻痺になり将来に絶望する患者と家族の苦しみも。夜勤のナースたちの責任や仕事の大変さも伺えた。毒。治療に使用する毒。自殺する毒。他殺に使用する毒。人を貶める言動の毒。ある人を助けるために使用する毒? 医師・看護師・患者・患者家族、弁護士のそれぞれの過去の因縁のからみ合い、真実を巡り最後まで興味深く読めた。
読了日:05月31日 著者:深谷 忠記
GUIもWebもAndroidも! これならできる! Java入門 (日経BPパソコンベストムック)GUIもWebもAndroidも! これならできる! Java入門 (日経BPパソコンベストムック)感想
初めのJavaのさわり十数ページと終わりの方のAndroidについての記述を見たくらいで、読書メーターに登録するのも良くないかもしれないが、この時期にこんな本にも触れたということで記録にとどめたい。最後の熟語ゲームを作ってみたかったが、NetBeans IDEを起動するところまでいかなくて断念した。
読了日:05月30日 著者:
ヨチヨチ父 とまどう日々ヨチヨチ父 とまどう日々感想
父親の目線で子育てが4コマで描かれている。どれも、そうそう、あった、あった、と思えるものばかり。妻に悪く言われるのは私一人じゃなかった!? 初めての父親に贈ってあげるべきバイブルかもしれない。一人で悩み続ける父親の道標だ。この本で一人でも多くの父親の心が軽くなっていくことを祈りたい。
読了日:05月26日 著者:ヨシタケシンスケ
ふまんがあります (PHPわたしのえほん)ふまんがあります (PHPわたしのえほん)感想
女の子の不満をお父さんがよく聞いて、それにきちんと答えているのがいい!「もううるさい!」「知らん!」なんて言わずにきちんと答えている。「どうして子どもだけ早く寝なくちゃいけないの?」などたくさんの不満に答えてる。それぞれの質問、自分は答えきれない。子育て中の方、大いに参考になりますよ。でも、そんなお父さんだから、最後は娘から・・・。ほっとしますね。
読了日:05月26日 著者:ヨシタケシンスケ
検事の信義検事の信義感想
佐方貞人検事と増田陽二事務官の4短編。「被告人の罪をまっとうに裁かせる」を信念に仕事を進める姿が清々しく良かった。検察組織の中で上を気にすればなかなか思うように動き回れないことでも、自分の立場より被告の真実を突き止めようとしている。特に最後の「信義を守る」の認知症の母親とその息子の事件については、佐方検事だったからこそあのような真実を突き止めることができ、あの求刑になったのだ。息子の思いに胸が熱くなる。佐方のような検察官ばかりだとありがたいのだが。
読了日:05月25日 著者:柚月裕子
プログラミングでなにができる?: ゲーム・ロボット・AR・アプリ・Webサイト……新時代のモノづくりを体験 (子供の科学★ミライサイエンス)プログラミングでなにができる?: ゲーム・ロボット・AR・アプリ・Webサイト……新時代のモノづくりを体験 (子供の科学★ミライサイエンス)感想
中学校などでもプログラミング教育が始まっている。子供の科学ミライサイエンスのこの本の中にも学校で使用されるScratchやMonacaなどWeb上で使用できるものが紹介され、具体的なプログラムの作り方が説明されている。実際にテキスト通りに作ってみて楽しめた。ブロックを積み重ねていくようなプログラムだったので、気楽にできた。時間を作ってもう少し込み入ったものができたら最高だろうね。
読了日:05月23日 著者:杉浦 学
彼女は頭が悪いから彼女は頭が悪いから感想
東大生による集団わいせつ事件が題材。終盤に事件の概要。東大生だから事件がマスコミで大きく扱われたとも言えるのだろうが、被害者の女性の方がネットバッシングを受けるなんてひどすぎる。描かれていたように加害者側がバッシングのきっかけも作ったのだろうが、他人事だと思って言いたい放題は酷だ。加害者母に対して女子大の同姓同名の教授の対応は素晴らしい。被害者は大きな傷を抱えて過ごすのに対して、加害者側の親子とも平然とその後の人生を過ごしていくことに歯痒さを感じる。日本はこのような事件への処罰が緩いのでは?
読了日:05月22日 著者:姫野 カオルコ
おいしく育てる 野菜づくり ―失敗しないコツと対策― (ナツメ社のGarden Books)おいしく育てる 野菜づくり ―失敗しないコツと対策― (ナツメ社のGarden Books)感想
退職後に畑にも関わるようになり、わからないことだらけ。たくさんの写真とともに、肥料、支柱、マルチシートなど丁寧に説明されている。野菜の種、苗、育て方の手順もわかりやすい。天候にも左右されやすい野菜づくりだが、楽しみながらこれからも関わっていきたいものだ。
読了日:05月18日 著者:五十嵐 透
妻のトリセツ (講談社+α新書)妻のトリセツ (講談社+α新書)感想
図書館予約が集中していてかなり待った。読むのは夫婦のどちらが多いのかも気になるところ。我が家では妻の方から先に読んで、自分の行動にも納得していたようだ。私も地雷を踏むこともちょこちょこあり、ネガティブトリガーを引いてしまう。女性脳は感情記憶を過去のものをも瑞々しく引き出せるという。うんうん、そうだ。納得しながら読む。日常生活の中でストレスを感じやすい妻の放電先となっているのが、妻の心の中で高い位置にある夫に放電していると。これからも弱電になるようにポジティブトリガーを増やそうっと。
読了日:05月18日 著者:黒川 伊保子
百姓一揆 (岩波新書)百姓一揆 (岩波新書)感想
江戸時代に起きた百姓一揆をその後に記録された資料を分析されていた。印象に残ったのが、「〇〇騒動記」「〇〇太平記」など軍記物や講談や読み物としての体裁でもあるということや、それらの結末にその後の仁政が行われたことの前触れ的な記述になっている、などの指摘だった。一揆後の「読み物」教材、小説や講談のように読み手・聞き手の関心を惹きつけるために「〜の生まれ変わり」的な表現も、そんな現れだと。京都の出版社によって増刷されあるいは写本されたという。一揆勢の持ち物(鉄砲・筵旗など)も演出があると。
読了日:05月15日 著者:若尾 政希
英単語の語源図鑑英単語の語源図鑑感想
鉄棒のムーンサルトmoon-salto、なめたら飛び上がるような塩のsalt、水面から飛び跳ねる鮭salmon、サラミsalami、ソーセージsausage、サラダsaladなどみんなイタリア語の「跳躍」を意味するsaltoを語源に持つなど面白いものだ。バーベキュー、バリケード、バラックなどは「棒・横木、飲み屋、法廷」の意味を持つ「bar」を語源とするというのも意外だった。こういうふうに単語がどんどん頭に入ってくるといいんだろうけどね。語源に分解して単語を見るというのもなかなか面白かった。
読了日:05月13日 著者:清水 建二,すずき ひろし
トリニティトリニティ感想
60年代から現代までを駆け抜けてきた3人の女性が描かれる。時代の先端を切り拓いた人たちとも言えるのか。イラストレーターとして見出され育てられた朔、フリーランスライターの登紀子、そして寿退社した鈴子。女性の地位向上の中での彼女たちの活動は、一方で家庭の中での関係をこじらせることにもなっていった。トリニティとは三位一体と訳されるそうだ。彼女ら3人、仕事・上司、家庭、社会情勢などいろいろな三位関係がありそうだ。取材を通じて歩みだそうとする奈帆や朔を見出し最後まで見つめていた立見に心揺り動かされた。
読了日:05月06日 著者:窪 美澄
一気に英語力がグレードアップする100の英単語: 「話す」「書く」のバリエーションがどんどん広がる一気に英語力がグレードアップする100の英単語: 「話す」「書く」のバリエーションがどんどん広がる感想
猫たちの物語が英語で語られ、「ターゲット単語」の説明と、「注目表現」の説明が行われていた。私にはハードルが高かったが、わかる単語だけの拾い読みで最後までかろうじて読む。
読了日:05月01日 著者:パトリック フォス,酒巻バレット 有里

読書メーター

4月の読書記録~読書メーター、7冊2349ページ(78.3ページ/日)

31 5月

4月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2349
ナイス数:361

海外ドラマはたった350の単語でできている海外ドラマはたった350の単語でできている感想
作者はアメリカのドラマを分析して、その中でよく使われる英単語を頻出順に表にしている。45時間分29万語の中で、12000の全単語のうち1900語で92%をカバーする。これら殆どが中学校で登場する単語で、さらに全セリフの80%は350個の単語で作られているというのだから、ちょっと頑張ってみたくなる。品詞ごとの重要語や英会話を学習する手立ても示されている。スピーキングとヒアリングを、ドラマの字幕、シャドウイングで高めるなどが示されていた。あとはどれだけ実践するかのみなのだが・・・。
読了日:04月27日 著者:Cozy
ノースライトノースライト感想
ノースライト?北の灯り?南半球の話?と思ったら浅間山を臨む北向きのY邸を巡る話だった。建築士は何を主眼に建てるか、そのコンセプトは大事なもののようだ。Y邸依頼主の動向を探りながら、その中にあった椅子の製作者のこと、メモワール設計に向けての事務所の動きとともに、主人公青瀬稔自身のことなど、いろんな視点で楽しめた。その建物にどう光を取り入れるかを考える青瀬だったが、青瀬自信も冷たく弱いと思われていた光を受け続けてきたことにしだいに気づいていく。青瀬が北向きの窓を開け放つことを願う。
読了日:04月26日 著者:横山 秀夫
昨日がなければ明日もない昨日がなければ明日もない感想
杉村探偵、別れた妻子を時折思いながら、のんびり確実に仕事しているようだ。事務所をみると、口コミを知らなければ私は依頼しないかも。仕事の下請けを喜んでしたかと思うと、パソコンに強い人へ下請けを出したりと、人望は厚そう。娘を思いうるっとくるなんて、優しい元お父さん。本作が初めてなので経緯は知らないが、よりを戻せないのだろうか。そんな手立てを見つけることもできる探偵のように思うのだが。人のことはできても自分のことは無理なのか。「未来はボートを漕ぐよう」の言葉はよかった。
読了日:04月19日 著者:宮部 みゆき
父と私の桜尾通り商店街父と私の桜尾通り商店街感想
表題作などの6短編。ちょっと不思議な?世界。「ひょうたんの精」ひょうたんの中の七福神とチアリーダーという何とも奇想天外な世界が描き出されていた。よくこんな構想が浮かんでくるものだ。「せとのママの誕生日」。これを映像化するとしたら、ママさん役は最後まで演じられるのだろうか。途中で吹き出してしまいそうだ。ママとの繋がりで誕生日を祝おうという彼女たち。決してママさんに可愛がられたわけでもないだろうのに、人生の中で大きな存在のママさんだったのだろう。想像するだけで笑えてきそうな、でも変な誕生日。
読了日:04月14日 著者:今村 夏子
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))感想
米国の作家の長編SF(1968)。場面設定は1992年。早川書房から69年に翻訳発行され、77年に文庫化、2017年には82刷とはロングセラーだ。設定された時代を現在過ぎているが、30年近く先の時代を想定したSFを興味深く読めた。火星から脱走したアンドロイドを処理するバウンティ・ハンターの物語。映話はテレビ電話?、ホバー・カーはまだ実現されてないけどキーやダイヤルは回さなくなった。隣の人が知らない間にアンドロイドに成り代わる日も近いのだろうか。時々、検査してみるかな?
読了日:04月12日 著者:フィリップ・K・ディック
沈黙のパレード沈黙のパレード感想
さすが湯川教授。複雑に絡み合ったピースを見事にはめていくものだ。終盤に差し掛かって読み手としてはこれで終わりかと思っているとそのピースがはまらず前に戻ってやり直しみたいな思いをしながら読み進めた。刑事が解けない難解な事件を解きほぐす湯川に魅了させられた。沈黙の手強さを今回初めて知ったが、人と人の信頼の心強さ、人を大切に思うがゆえに追い詰められる脆さも感じた。身内を殺害され、犯人もほぼあの人とわかりながら裁判も行われないというのは遺族にとってやるせないだろう。ましてや生活の糧とは!
読了日:04月09日 著者:東野 圭吾
評決評決感想
小学校時代の同級生、同じ誕生日の雅江と英理佳。どちらも成績は良かったが、家庭環境の違い、人生も大きく異なっていく。裁判員制度を描きながら殺人事件が裁かれていく。物語は二転三転それ以上、最後まで惹きつけられた。友情、親の子を思う気持ち、子の親を思う気持ち、警察官の調書、裁判員や裁判官の判断基準、多くのテーマを含みながら進んでいく物語だった。裁判員がどう判断するのかもなかなか難しそうなものだ。ドラマ化はされていないようだが、ドラマになってもよさそうに思うのだが、どうだろう。
読了日:04月04日 著者:深谷 忠記

読書メーター

3月の読書記録~11冊、3433頁(110頁/日)

1 4月

3月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3434
ナイス数:482

共犯共犯感想
過去の少女連続殺人事件の犯人に対してマスコミ報道に煽られた周囲の人の目は厳しく、その後の家族は悲惨なものであった。少女誘拐事件をきっかけに物語は意外な方向に向かっていく。過去の事件とのつながりは、何か引っかかるところが。真実が曲げられ、冤罪で長く苦しむ本人や家族、事実かわかっても警察や司法もそれほどの責任も取らず、マスコミに至ってはその時々をセンセーショナルに報じるばかりで自らの責任を顧みない。最後の最後まで真相が二転三転と面白く読めた。
読了日:03月31日 著者:深谷忠記
救いの森救いの森感想
「児童救命士」新米の長谷川とその相棒で指導者?の新堂を中心とした「児童保護署」の物語。子どもたちが命の危険などに遭遇したときに使用する「ライフバンド」が登場する。最近の保護者による虐待やいじめによる自殺者がなかなか減少しない状況の世の中にはこのようなシステムが必要に思う。でも職員の配置には厳しいものもあるようで、システムだけでなくそれを機能させる人材増員も求められるようだ。子どもたちの厳しい家庭や学校の状況とともに長谷川や新堂自身の過去も描かれ読み応えのある小説だった。
読了日:03月30日 著者:小林由香
ゆえに、警官は見護るゆえに、警官は見護る感想
刑事ものの小説もときに読んでるが、これは一味違っていた。今までのものは格好良くビシッと事件解決まで行くのだが、この初読みの作家さんのは異なっていた。留置場の様子がよく描かれた。留置担当官・武本の留置人へ感じる疑念をうまく描いていた。お坊ちゃん警視の潮崎、財務捜査官の宇佐見さらに正木星里花巡査の3人の掛け合いの面白さも、ひどい事件を追いながらも和ませるものとなった。東北の震災が千葉の方でも大きな被害を出していることにも改めて感じさせられた。事件解決へどう収束するのか最後まで楽しめた。
読了日:03月28日 著者:日明 恩
棲月: 隠蔽捜査7棲月: 隠蔽捜査7感想
大森署長・竜崎の仕事ぶりがいいね。上に媚びず下にも偉ぶることもなく、事件解決に向けて真摯に立ち向かう姿に惹かれる。いじめとサイバーテロ。ますます増えていきそうで気になるところだが、それらの事件をうまく収束させていった。署員の能力を最大限に引き出し自分も学ぶという考え方が、書院をひきつけても行くのだ署員を惹きつけてもいくのだろう。展開も早くほぼ一気に読むことができた。自作も大いに期待したい。
読了日:03月24日 著者:今野 敏
それまでの明日それまでの明日感想
初読みの作家。探偵事務所の沢崎の警察をも手の内で動かしているようで面白かった。融資が内定している料亭の女将の身辺調査の依頼をされ、なんでもない調査が、次々と思わぬことにも巻き込まれていき、どう繋がり収束していくのか、楽しめた。依頼人の意図がこんなところにあったとは。それにしても金融、暴力団などの世界は見えにくいものだ。小気味良い女将さんの対応は凄いね。
読了日:03月23日 著者:原 りょう
ゼロトレゼロトレ感想
体のポジションをゼロに戻すことの大切さとそのトレーニング法が書かれていた。「羽が生えたように軽くなる」の副題に魅せられた。毎年のように身長が縮んでいるのも脚などの筋が固くなっていることが原因だといわれ、はっとする。呼吸法と股関節周り・太腿のストレッチ、かかとに重心を置くというのも今まで意識していなかった。筋を伸ばすことで羽が生えたように軽くなるのなら、普段の生活で意識してみようっと。他人を意識せずに自分の体や心の持ちようをゼロポジションに戻すことを意識したい。
読了日:03月23日 著者:石村友見
七つの会議七つの会議感想
企業の利益拡大のためにノルマを押し付けられる社員。会社の中で少しでも上に上がろうとする中で、不正に手を染めていく社員。不正に気づきながらも会社を守るため隠蔽工作。今の企業や政治の中でも数字をすり替え誤魔化し、よく見せようとすることが話題となる。たった一つの小さなネジ。それがとんでもない事故をも引き起こすかもしれないということに恐れを抱く。社内外への告発によって救われた。安心安全を第一にして利益を求めてもらいたいものだ。それを指摘できる人でいたいものだ。
読了日:03月16日 著者:池井戸 潤
真夜中の子供真夜中の子供感想
無戸籍児童、今までほとんど意識してこなかったことを改めて気づかされた。蓮司に戸籍を与えるためには多くの壁があった。厳しい境遇の中で生き抜いていく蓮司の逞しさに胸が詰まる。彼を何気なく支える中洲の人々の心優しさ、彼にしだいに惹かれる緋真。物語は重いテーマでありながらも、人々の温かい眼差しの中で、心揺すぶられた1冊だった。終盤の2つの家庭の真実に驚かされた。蓮司がこれからも中洲で一人前になっていけそうでよかった。緋真の思いを受け止めれる大人になってくれよ。
読了日:03月13日 著者:辻 仁成
発現発現感想
亡霊、統合失調症、トラウマ、遺伝? 何とも心がざわついた。敗戦間近の満洲での回想、昭和40年と平成30年。世代をまたがって話が進んでゆく。まもなく平成が終わろうとする今、昭和はまた遠くなっていく。この小説は忘れちゃならないんだよと言っているようでもある。私も父から戦争中の話はほとんど聞いていない。中国・北朝鮮・韓国と今後とも繋がって行くためにも日本国民だけが知らないでは困る。DNAが共通の彼岸花を造形が素晴らしくきれいだと見続けることができますように。
読了日:03月11日 著者:阿部 智里
山猫珈琲 上巻山猫珈琲 上巻感想
どんなエッセイなんだろうと思いつつ読み始める。嘘ばかりで書く小説よりも本当のことを書くエッセーは難しいと最後の方で述べていたが、楽しませてもらいました。「女子会?」「山に登りたくなったから山を舞台にする小説を書く」「『高級』そうめんは嫌い?」など過去の体験などを知ることができ、「イヤミスはちょっと…」と思っていた私も意外に思うことも多く、親近感がわきました。十数回目の娘さんの誕生日に、娘さんから言われた「出産記念日だから」には感動しました。いい子育てもできていたんですね。
読了日:03月06日 著者:湊 かなえ
13階段13階段感想
読み応えのある本。日本の司法・刑罰について考えさせらた。無期懲役ってそんなこと? 再犯率がほぼ50%?! 仮出所の三上純一と刑務官南郷が依頼されて冤罪を防ぐための調査で次第に明らかになっていく様子に惹きつけられた。死刑が実際に執行されるシーンなどでは刑務官の心の負担も凄いものだろうと想像できた。南郷が尾行をまく手口が痛快、こんな役割があったのかと。13階段も処刑台かと思って読んでいたが、それは別のことであった。それにしても真相はうまいこと潜んでいたものだ。
読了日:03月05日 著者:高野 和明

読書メーター

2月の読書記録~13冊、4166頁、149頁/日

1 3月

2月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4166
ナイス数:815

本と鍵の季節 (単行本)本と鍵の季節 (単行本)感想
高校生図書委員の松倉詩門と堀川次郎の二人による5短編。二人の会話も小気味よく進み、謎に立ち向かっていく。それぞれの謎は私には予想もできない決着となっていく。なかでも「913」と「ない本」など図書に直接関わるものは興味深かった。他の短編も図書に関わるのだが。「金曜に彼は何をしたのか」など小さな手がかりから真実を明らかにするなんて素晴らしい。それにしても詩門くんの行動・思考パターンがなかなか読めないのが、この小説の幅を広げてるのだろうか? みんな心に秘めたものを持ちながら過ごしてるんだ。
読了日:02月28日 著者:米澤 穂信
愛なき世界 (単行本)愛なき世界 (単行本)感想
本屋大賞候補10作品目。「愛なき世界」って寂しい。一体どんな物語なの? やっと手元に入り読み始める。イロイヌナズナの研究にのめり込む本村紗英に、調理見習いの藤丸が惹かれていく。「愛なき」とはあるものの、本村への愛を高めながら、調理への愛を追い求める藤丸の姿が、朴訥ながらも誠実で好感が持てた。植物、研究、異性、同僚、弟子、近所の常連等々、様々なところでの「愛ある世界」が描かれていた。3回目、4回目とへこたれずに藤丸がんばれ。君の誠実さは紗英を変異させていくはずだ。そうあってほしい。
読了日:02月26日 著者:三浦 しをん
一茶「生きもの句帖」 (小学館文庫)一茶「生きもの句帖」 (小学館文庫)感想
風景や生きものの写真とともに一茶の句がまとめられた文庫。生きものを詠んだ膨大な句の中から480句が収められている。雀・蠅などのよく知られたものもある中で、蚤、虱、孑孑(ぼうふら)などもあって驚いた。「孑孑も御経の拍子とりにけり」「とぶな蚤それそれそこは角田(すみだ)川」「うつるとも花見虱ぞよしの山」生活の中で弱い小さな生きものにも目を向けて飾ることなく詠む姿勢がいいですね。じっくり向き合えているから詠めるのでしょうね。「のら猫が仏のひざを枕かな」
読了日:02月24日 著者:小林 一茶,岡本 良治
つるかめ助産院 (集英社文庫)つるかめ助産院 (集英社文庫)感想
主人公まりあから見た助産院の物語。まりあの境遇からすると多くの悩みを感じながら過ごしてきたことだろう。思い出の南のハート型の島でのつるかめ助産院で多くのことを学び体験し、生き方を見直すことができてよかった。出産への立ち向かい方ばかりでなく、いろんな人との絆の結び方を教えてもらえた本だった。最後の小野寺君とのことは主題ではないのかもしれないが、もう少し描いてほしかった。艶子さん、里親さんとのことも感動しました。心からの言葉や態度は人を動かしますね。
読了日:02月21日 著者:小川 糸
アリとキリギリス~ドレの寓話集~アリとキリギリス~ドレの寓話集~感想
ドレの緻密で迫力のある挿画に圧倒される。最初の「アリとキリギリス」のドレの装画もアリ・キリギリスではなく人物が描かれている。細かな線によって人の表情、物、風景が描かれ、その絵を含め寓話の捉え方を現代に置き換えて解説されている。ラ・フォンテーヌの寓話が約300年以上前の時代背景の中で紀元前のイソップ寓話を捉えたのだから、現代に合わせたものにしたという。人間を含めた生き物たちの物語から多くのことに改めて気づかされた。「ライオンとブヨ」「猫を愛した男」「痛風とクモ」などこんな話もあったんだ。
読了日:02月18日 著者:ジャン・デ・ラ・フォンテーヌ
ペロー童話集 (挿絵=クラーク)ペロー童話集 (挿絵=クラーク)感想
「赤ずきん」「眠れる森の美女」「シンデレラ」など子どものころ絵本として一度は読んだことのある童話などが、細かなクラークの装画とともにあった。作者は今から300年以上も前、ルイ14世にも仕えた。口承の話を文学に高めたという。各童話も絵本ではつてられていないことも多くあった。この作者がいたから絵本として読むことができたのだと初めて知る。
読了日:02月14日 著者:シャルル・ペロー
会社を綴る人会社を綴る人感想
主人公・紙屋。その名前の由来がわかってなるほどと思えた。紙屋ほど仕事のできない人物はそうそういないだろうが、兄や製粉会社の社長など、長所を生かしてくれる人がいて救われた。紙屋自身が自分の長所を自覚しそれを裏切らない行動をしたのは立派。あのような状況に置かれたとき、自分なら上司の言うがままだったような気もする。紙屋は自分の仕事の出来なさを逆手に取って、長所を生かした。榮倉さんへの思いが伝えられなかったのは残念だったが、手紙に託したかな。非公式社史は見事に読ませる力があった。
読了日:02月13日 著者:朱野 帰子
花だより みをつくし料理帖 特別巻花だより みをつくし料理帖 特別巻感想
久しぶりに高田さんの本。「みをつくし料理帖」の「特別巻」ということだが、今回も何気ないところでも涙を流してしまった。「燕が雛に餌をやる」どうしてこんなところで・・・。澪さんがなかなか登場しないなと思いながら油断していたのかもしれないが・・・。涙腺が緩みっぱなしでした。「特別巻」と言わず、大阪での澪さんの活躍を見ていきたい。東西の食文化の違いを澪さんはどう生かしていくのか。野江さんの過ごし方に一安心。雲外蒼天の澪さんが天下の台所での今後ますますの活躍を期待します。待っています。
読了日:02月11日 著者:髙田郁
ひとひと感想
本屋大賞候補作9冊目。主人公聖輔の20歳前後の人生の大きな波が描かれる。聖輔の性格は父親とよく似ているようだ。不運な中でも健気な姿が伝わってくる。その生き様が最後の一行に集約されているのかもしれない。おかずの田野倉での出会いや父を辿る聖輔の姿が心地よい。身内や友達?への対応でもどかしさも感じながらそれが聖輔なんだろうね。思いやりのある人を見る目を持つ青葉、要領良さだけから変わっていった映樹、田野倉などの人々、暖まる出会いがよかった。
読了日:02月08日 著者:小野寺 史宜
フーガはユーガフーガはユーガ感想
本屋大賞候補作8冊目。双子の風我と優我の虐待の日常が酷い。そんな中でのTwins Teleport ?面白いことを仕組んでくれてます。虐待・殺人などの目を背けたくなるようなできごとの中で瞬間移動で救えるか。ある程度落ち着いて明るくなった生活に、突然のフラッシュバック。なんとも言えない。しかし、彼らは自らの普通の生活だけでなく、過去の悲惨の事件の解決を目指すヒーローの歩みでもあった。虐待を受けたがゆえに同様の人を救いたい思いによって強い人間になれたのだろうか。
読了日:02月06日 著者:伊坂 幸太郎
火のないところに煙は火のないところに煙は感想
本屋大賞候補作7冊目。ホラー作品はまず読まないのだが、候補作なので読む。なぜ読まないのか?そりゃ怖いから。作家と出版社とのやり取りまで小説?って思うような作品だった。一話目「染み」で、この先どうしよう?って思ったけど、2話目の「お祓いを頼む女」のやり取りが面白く、ついつい最後まで読んでしまった。「疑ってはだめ」と言われても・・・。疑って背くから不幸が襲ってくるのか、不幸があるから襲われるのか?こんな小説を書く作家もそれを出版する担当者もどういう神経の持ち主なんだろう?
読了日:02月06日 著者:芦沢 央
熱帯熱帯感想
本屋大賞候補作5冊目。「千一夜物語」がよく登場するように、物語がどんどん広がっていき、「ぼく」は誰?って思うことしばしば。この「熱帯」という小説の中で「熱帯」という書物を巡ってその真相にむけて翻弄されていく姿を、読んでいる私自身も熱帯の海に流されてしまうようだ。「千一夜」のように物語の中の登場人物の物語が入り込んでいるようで何個目のマトリューシカ?って感じ。「何もないということは何でもあるということ」「創造の魔術」を手に入れ、3つの品を入れた物語でも創りたいものだ。
読了日:02月04日 著者:森見 登美彦
そして、バトンは渡されたそして、バトンは渡された感想
本屋大賞候補作4冊目。母2人、父3人の優子さん?一体どうなってるのと思いつつ読んでいく。みんなに愛され大切にされていった優子さんは優しく強い子だ。同級生との関係が不安定になった時でも優子さんは落ち着いていた。親子関係が変わっていく中でも愛されてきたことが心の底で支えになっていたのだろう。梨花さんの行動には危うさも感じたが優子さんを第一に考えていたんだ。「二つの明日の楽しみ」なるほど。森宮さんあっての終末に心が温まった。虐待が増加する社会の中でこんな愛の本が広まっていくことを祈る。
読了日:02月03日 著者:瀬尾まいこ

読書メーター

1月の読書記録、10冊、2890頁、93頁/日

1 2月

1月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2890
ナイス数:379

ひとつむぎの手ひとつむぎの手感想
本屋大賞候補作3冊目。心臓外科医平良。次のステップのために手術の多い病院への派遣をちらつかされ研修医3人の指導を引き受けたときにはがっかりした。しかし平良の患者への接し方、医師としての力量などが描かれていくたびに思いが変わっていく。怪文書の出所や真偽、研修生への指導の仕方などどんどん物語に引き込まれる。ハードな心臓外科を描きつつ、人の命を紡いでいく熱意が伝わり、感動の波が次々に押し寄せてきた。平良を支える妻の姿勢もすごい。平良に診てもらえる沖縄の人が羨ましい。
読了日:01月31日 著者:知念 実希人
ある男ある男感想
本屋大賞ノミネート作2冊目。戸籍のロンダリングに唖然。ある男の死を巡り今の日本社会の多くの問題もあぶり出されているようだ。ともに過ごした人は、実は違う名前の人だったなんて明かされたらどう思うんだろうか。過ごした期間の思い出は嘘でもない事実。弁護士城戸の調査への熱意は、人の過去の系譜と今、そしてこれから未来を生きていくために、里枝だけでなく自らのためにも注がれたと感じる。俳句「蛻にいかに響くか蝉の声」、「彼の人生のすべて」の箇所に感極まる。戸籍を変えずに別の生き方もできたのだろうに。
読了日:01月30日 著者:平野 啓一郎
わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑感想
タイトルが面白そうで読む。いろんな生物があれれ?と思いながら絶滅していく様子がわかりやすく楽しかった(不謹慎)。鎧のような10mの体を持ち噛む力も恐竜並みなのに、なんと1mmにも満たないプランクトンのせいで絶滅したとか。人間によって数十年で絶滅させられたり。そうかと思うとやる気がなくて他と争わずに深くに潜っていったために絶滅の危機を逃れたというものも。さて我々人類は絶滅の危機をある程度は予想もできるのだろうから、核・戦争・温暖化など早く解決しておきたいものです。
読了日:01月25日 著者:丸山 貴史
平成くん、さようなら平成くん、さようなら感想
芥川賞候補作1冊目。この中に日本は世界で一番安楽死のしやすい国と表現されているが、どうなの?ネットで検索しても認められていないという記事のほうが多いのだが。商品名などがこれほどわんさか出てくる小説を読んだのは初めてだ。平成時代に存在するもののカタログにでもしたいのだろうか。その商品を販売しているところから広告料が貰えそうだね。死んだ人の名前さえも一切語ってもいけないボルネオのプナン部族を初めて知った。来世はあると考えるほうが合理的で自由に生きられる、は納得。
読了日:01月24日 著者:古市 憲寿
信長の原理信長の原理感想
直木賞候補作4冊目。信長の統一に向けての行動が、家臣の働き方とともに描かれる。家臣の働き方が蟻の働き方に似ているという。突き詰めていくと、一人が必死に働き、一人は働かず、残る三人は状況により日和見になる、と。必死に働くものばかり集めても、この状態は変わらないという。600頁近いこの小説で光秀へのパワハラは酷い。読みながら、パワハラや働き方改革を考えてしまう。「自分が」と必死で働く人。でもこの蟻の原理から他の人が代わって活躍していく。当時は謀反を起こせば殺害もされたのだが・・・。
読了日:01月23日 著者:垣根 涼介
童の神童の神感想
直木賞候補作3冊目(これを読み終わる前に「宝島」と決定された)。平安時代の都の支配者に対する周辺の蔑まれた童たちとの対立が描かれてゆく。周囲の山を拠点に過ごす童たちとの戦いが繰り広げられていく様子は、映画などになると面白そうだ。映像化も大変かもしれないが。「貴族たちから返してもらう」という発想は面白くなるほどと思えた。歴史からすると平定されるのだから仕方ないのかもしれないが、こそっと生き続けて後の世でも裏で活躍してもらいたいものだ。
読了日:01月17日 著者:今村翔吾
十二支のはじまり (行事むかしむかし (十二支のはなし))十二支のはじまり (行事むかしむかし (十二支のはなし))感想
岡山県に伝わる十二支の話がもと↑。神様の話を聞いている動物たちの様子はみんな興味津々の様子が目の表情でわかる。迫力のある切り絵・版画?集まる日にちを忘れた猫はネズミに尋ねる。この頃は仲違いもなく仲良かったんだろうね。可愛い顔をしたネズミは1日遅い「しん年の二日」と教えられたときの猫の表情も、眠たさをこらえている表情がおもしろい。いのししといぬの競い合いはすごい迫力。猫を買っている者としては猫が参加を拒んでおけさ踊りをしてたという福島の話も読んでみたい。
読了日:01月12日 著者:谷 真介
常設展示室: Permanent Collection常設展示室: Permanent Collection感想
絵画とともに紡がれていくマハさんの小説にまた出会えました。「ピカソが描きたかったのは、目の不自由な男の肖像じゃない。どんな障害があろうと、かすかな光を求めて生きようとする、人間の力、なんです」という『群青』。「全部捨てた。そうしたら、道が見えてきた」という『道』。「画家によって絵の中に閉じ込められた」少女に「いつか、助けに行くから」「きのうの続きの今日が、今日の続きの明日が、またきっとくる」の『デルフトの眺望』。絵に携わる者とその家族などとの関わりが胸に熱く染み込んできた。
読了日:01月11日 著者:原田 マハ
ベルリンは晴れているか (単行本)ベルリンは晴れているか (単行本)感想
戦後ドイツの米ソ英仏の4カ国統治と戦中のヒトラーのユダヤ人迫害を織り交ぜながら、恩人を毒殺されたドイツ人少女アウグスツスの見たものが描かれていく。犯人は意外なところにいたのだが、戦中や戦後の混乱した町や人の様子が詳細に描かれていた。国内外の人々が入り混じり、誰が味方なのか、スパイは?など複雑な社会を生きるのは大変なことだったろう。末尾の主要参考文献の一覧に圧倒される。彼女の生きる力につながった英訳本「エーミールと探偵たち」のような本に出会いたいものだ。
読了日:01月10日 著者:深緑 野分
トリノトリビア 鳥類学者がこっそり教える 野鳥のひみつトリノトリビア 鳥類学者がこっそり教える 野鳥のひみつ感想
鳥についての多くの面白い話題が満載だった。「鳥目」ってよく言ってるが、人間が鳥目であって、鳥は夜間にもよく見えてるそうだ。鳩が首を振りながら歩いているようだけど、実は頭を先に前に出しそこへ体が後追いのようにして前に進んでいるという意外な事実。スズメが時には天敵の巣の下で子育てをやっていることもあるなんて、強いものをうまく利用しながらしたたかに生きている様子も知ることができ、私もあやかりたい。
読了日:01月05日 著者:川上 和人,マツダ ユカ,三上 かつら,川嶋 隆義

読書メーター

2018年の読書記録~80冊。22,683ページ(62.1ページ/日)。

7 1月

2018年の読書メーター
読んだ本の数:80
読んだページ数:22683(これを1日あたりにすると62.1ページ)
ナイス数:3655

宝島宝島感想
戦後から復帰までの沖縄を舞台に、オン、グスク、レイ、ヤマコたちの生き様が描かれる。沖縄、米軍基地、米兵による犯罪など描かれているだけでも島民の苦しみが伝わってくる。その中で何とかしようと戦っていく人たちの力強さに頭が下がる。その一方で、自然現象や時代の支配力に翻弄されながら生きてきている人たちの"なんくるないさ"も内に秘めた力強さに思える。まだまだ本当の宝島になるには時間がかかるのかもしれないが、沖縄以外の人にも広く読んでもらいたい。
読了日:12月31日 著者:真藤 順丈
長いお別れ (文春文庫)長いお別れ (文春文庫)感想
認知症のことをアメリカでは「長いお別れ」と言うと最後に出てきた。ロング・グッドバイ。認知症になって10年、元・校長東昇平さんの物語。なんか最近、認知をめぐる小説によく出会う。自分は一体どんなふうになるのだろうかと考えざるを得ない。女性の方が認知症になる率が高いというデータも見たが、はてさて。昔指導していた熟語などはかけても家に戻れないとか。症状の出よう、家族の対応の可否も様々だろう。認知症になりにくい生活をしたいものだが、そのことを忘れてしまったら、どうしよう?
読了日:12月25日 著者:中島 京子
世にも奇妙な君物語世にも奇妙な君物語感想
5編の各物語、どれも奇妙で、こんなことになったら大変だと思うことも多かった。各話の最後の意外な展開がなんとも言えず面白かった。「立て!金次郎」は奇妙な話でもなくなかなかいいじゃないかと最後の方まで共感もしながら、最後の最後でやられちゃいました。いいね。第5話はまた総括的なものようでもあり、全部まとめて奇妙な物語に仕上がっていて、良かった。
読了日:12月19日 著者:朝井 リョウ
樽とタタン樽とタタン感想
タルト・タタンなら美味しいのだろうが、変わった題名に惹かれて読む。今なら放課後教室、学童保育かもしれないが、その教室は喫茶店。親と喫茶店との関係は?と思いつつも、喫茶店内の樽の上で学校帰りのお母さんの迎えまでを過ごすタタン。店の中での馴染みたちの様子やタタンとの関わりが、静かに流れていく。マスターの客との接し方も静かな喫茶店も雰囲気あって良さそう。こんな喫茶店に通っていたら、マスコット的なタタンに声もかけてみたくなりそう。
読了日:12月17日 著者:中島 京子
夏空白花夏空白花感想
戦前戦後の甲子園をめぐる物語。甲子園の夢を追いながら出陣した選手、戦争中はもちろんできず、とこの辺までは知ってたつもりでいた。しかし、敗戦後すぐに甲子園の復活を目指して動いていた朝日新聞記者神住たちがいたとは知らなかった。球場などがGHQのために使用できないとか、ボールなど用具が不十分なまま、夏の甲子園大会を計画するなど大胆なものだ。願わないと何事もなし得ないからね。GHQと交渉を続けながら終盤の試合に漕ぎ着ける感動の作品だった。夏と春の甲子園が開催できていく神住らの尽力に万歳。
読了日:12月12日 著者:須賀 しのぶ
青くて痛くて脆い青くて痛くて脆い感想
他人を不愉快にさせないように他との関係は最小限にしようとしていた田端楓の前に秋好寿乃の出現。楓の人生も少しずつ変わっていきかけた。どう変わるのか楽しみにしていたがちょっとしたきっかけで大きく変わっていく。秋好はどうなったのかと気になりながら不穏な展開に。ネットの危うさも感じた。感情表現に人体の部分を使ってなされている部分が新鮮だった。自分の生き方を人との関係でどう築いていくか、人に流されないように。
読了日:12月09日 著者:住野 よる
凶犬の眼凶犬の眼感想
駐在所勤務に左遷された日岡とヤクザである指名手配の国光との繋がりが緊張感を保ちながら、正義ではないが仁義の関係で描かれていく。ヤクザの懐に入り込みながら警察官としての仕事をやる日岡をハラハラしながら見守ってしまう。国光の仁義の生き方、日岡との関わりの持ち方、人間の大きさを感じながら読了。ヤクザの抗争やヤクザな行為はなくなってほしいものだ。そいう裏と繋がりを持つ警察官もいなくても良い世の中を望む。
読了日:11月27日 著者:柚月裕子
歪んだ波紋歪んだ波紋感想
トランプ大統領の「フェイクニュース」という言葉をよく耳にし、本書は考えさせられる。大統領の言葉は都合が悪い記事を批判しているくらいに思っていた。本書の中にはネットニュースでどれだけのPVが取れるか、それによる広告収入が・・・と。今やマス・メディアは第4の権力の座にあるばかりか、一般市民を含めた情報発信が第5の権力になり、さらには偽の情報で世の中を操ろうとするグループも出現してきてる?SNSで暴動などの事件も。一人ひとりの情報を正しく認識する判断力が問われていることを痛感する。
読了日:11月23日 著者:塩田 武士
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)感想
映画を見たあと原作が気になり、レビューを読んでいたら、いよいよ読みたくなった。映画も原作もどちらも良かった。文庫本の柳家小三治の解説にも驚いた。日々の当たり前の生活を過ごすことの素晴らしさをより強く感じられるようになりたいものです。「自分の方法で、あるがままの自分の成長の道を作ること」「道は一つしかない。今を味わうことだ」お茶を習う中で出会う、掛け軸の文字、先生のもてなし方、色んな場面で、お茶という世界にとどまらない読み方ができる。
読了日:11月14日 著者:森下 典子
おまじない (単行本)おまじない (単行本)感想
短編の中で「孫係」での「その人の望む自分でいる努力をする」「悪態をつくのは・・・本当に信じられる人にだけ」「お互いの役割を、思いやりをもってこなしている」、孫娘のすみれから「悪態をつきたくなったら、私に電話してよ」と言われたおじいちゃんは嬉しかったね。。「あねご」のラストはジーンときます。「マタニティ」の終盤で「自分の弱さを認めたら、逆に強くなれたんです」のことばで主人公も強くなっていけそうでよかった。自分の弱いところを隠そうとするから苦しむことも多くなるんだろうね。自省しなくては。
読了日:11月11日 著者:西 加奈子
長兵衛天眼帳長兵衛天眼帳感想
江戸時代を背景にした作品。長兵衛が天眼鏡を使いながら推理を働かせ、事件を解決していく。同心・岡っ引きや商いの様子など細部まで生き生きと描かれていた。この作家さん、ひょっとしてその頃から見てたのでは?サマータイムなんて江戸時代の人はとっくにやってたんだ。人情たっぷりに事件や困りごとを解決していくのが心地よかった。2話目の書残しの本物の証を長年続けていた主の用心深さとそれを確かめた長兵衛たちに拍手喝采だ。江戸時代の刻の数え方が面白い。
読了日:11月04日 著者:山本 一力
私が誰かわかりますか私が誰かわかりますか感想
認知症やその介護に関わる家族も様々。介護の側の仕事の状況や地域の目などによって大変な負担になることも描かれていた。やりたい仕事から離れてせざるを得ない状況にも追い込まれる。死後離婚とか付添代行など、認知症患者への対応もこの中で知った。親に育てられてきた。親を手をかけるほど楽しみもほとんどの場合増えてくる。ところが介護は先が見えない。見えないから余計にしんどいものとなるのだろう。私もそのうち認知症になるかもしれない。その時どこまで理解できるのだろうか。なんのために生きていくのだろうか。
読了日:10月23日 著者:谷川直子
彼女の恐喝彼女の恐喝感想
推理小説は犯人が刑事などによって追い詰められていく。この小説は恐喝者が主人公で進行していく。思いついてやってしまった恐喝。しかしそのことが発覚しないように過ごさなければならないのに、何故か身近な存在に。殺人事件と恐喝。殺人事件の犯人も逃げ、恐喝者も逃げるはずなのに。同類項という磁石によって引き合うのか?最後は思わぬ展開となってしまう。
読了日:10月14日 著者:藤田 宜永
赤い靴赤い靴感想
初読み作家で、またすごい小説に出会えた。物語の展開が気になりながら400頁超の本を読むことができた。葵への櫂の養育方針にも驚きだが、そこで学んでいく葵の能力にも惹かれる。物語当初の衝撃的なできごとは先へ進むことを躊躇わせたが、葵の運命、魅力に惹かれてどんどん読み進められた。後半は大きく展開し、核心に近づいていく。政治と企業、研究室の関係もなかなか厳しいものだ。櫂は葵をどう育てたかったのだろう。高い身体能力と学識は備えさせたのだが、人間力への目標はなかったのだろうか?「鬼退治」?笹本!
読了日:10月07日 著者:大山 淳子
赤い風赤い風感想
綱吉、柳沢吉保、荻生徂徠などの人物も登場する歴史物語。川越藩で三富新田を提案する新藩主吉保。側用人として領地にも赴けないながらも家老を使って見事な施策。百姓たちの開墾に向けての姿も生き生きと描かれ楽しく興味深く読むことができた。「九里よりうまい十三里」とはうまく言ったものだ。三富新田の写真もネットで見たが見事なものだ。側用人としての吉保しか知らなかったがr藩主としてこのような現代の川越のさつま芋につながる施策で人々とともに事業を成功させたとは見事。「赤い風」にも頷けた。
読了日:10月03日 著者:梶 よう子
未来未来感想
いくつかの章に別れ、ドリームランドを願いながらも結末は、暗い。子どもたちのいじめ、教師と母親との関係、父親の娘への性暴力などなど。描かれている内容は酷いものだが、当の本人たちの苦悩が見えない。苦悩も感じなくなっていくのか。許しがたい行為をする者への復讐。各章でドリームランドやドリームキャットなど登場するが、彼らの未来はどうなるのだろう。未来を断った人、未来を絶たれた人。この本はどう読めばいいのだろう。とても「ハイテンション」では読めないし、未来への希望も見えないのだが。
読了日:09月25日 著者:湊 かなえ
星をつなぐ手 桜風堂ものがたり星をつなぐ手 桜風堂ものがたり感想
今回も感涙ひとしきり。主人公一整の真っ直ぐなところに周りの人も惹きつけられるんだろうね。古巣に呼び出され店内に入っていくときの描写を読んでるとウルウル。オーナーからの言葉に感動。熱意を持って本を売ることに一生懸命だったから、桜風堂を任された後の困難にも手を差し伸べてもらえたのだろう。作者あとがきではこれで完結とあったが、自分としては桜風堂のさらなる飛躍、町長とともに町の発展・賑わいに一役果たす一整と○○さんの姿も見たいものです。
読了日:09月12日 著者:村山 早紀
ウォーターゲームウォーターゲーム感想
重要な水資源をめぐる利権争いにスパイの暗躍。以前は売られることもなかった水が自販機などでも売られている。水利権がどこまで認められるのかわからないが、日本以外の国では他国と川を共有しているがゆえに、水利をめぐる問題は大きそうだ。そこに政治や企業の思惑が動くとなると大変だ。その間をスパイがさらに動くとなると・・・。二重三重のスパイとなればどうなる?スパイを利用するのか、されるのか。最後まで二転三転で良かった。物語も広範囲でスリルもあり映画などになるといいかも。
読了日:09月08日 著者:吉田 修一
リアルフェイス (実業之日本社文庫)リアルフェイス (実業之日本社文庫)感想
面白かった。今年読んだ中で秀逸。天才美容外科医・柊貴之と麻酔科医・朝霧明日香が繰り広げていく5短編。と思いつつ読んむと・・・。法外な治療費を請求しながら完璧な整形。そこに患者の真の姿を蘇らせる展開はほろっとくるものがある。短編の合間に短いストーリーが不穏さを滲ませながら進んでいく。しだいにミステリー・サスペンスの様相が濃くなっていき、最後に大転回。テレビ、映画などで描かれるのも面白そうだが、完璧な整形のBefore&Afterの配役が困難か?最後なんかどうしよう?見てる方も混乱をきたすか?
読了日:09月01日 著者:知念 実希人
Aさんの恋路。 (単行本)Aさんの恋路。 (単行本)感想
堅い本の隙間に、家にあったこの本を読む。自分より幸せそうに見えて仕方がない主人公。これほど簡単な線で描かれたイラストの中で、主人公の心の声や課長や後輩の声が、人生を考えさせてくれる。自虐は自分を楽にもさせるが、時として他人を傷つける。おばあちゃんからの「結婚はしなくてもいいけど、一人でも無条件に信頼できる人がいたらいい。好きなことが1つでもあれば尚いいね」
読了日:08月29日 著者:やまもとりえ
石塔調べのコツとツボ: 図説 採る 撮る 測るの三種の実技石塔調べのコツとツボ: 図説 採る 撮る 測るの三種の実技感想
宝篋印塔などを例に上げ、時代によってその形がどのように変化してきているのか説明されていた。その中で五重の塔などの木造建築の軒などの造りが模倣もされ石で表現されていた時期もあったというのには驚いた。宝篋印塔の形・サイズをどのように測定し図面にするかなど詳しく説かれていた。刻まれている梵字の彫り方も断面がV字の薬研彫とかU字、字に縁を付けるなど色々あることも知ることができた。拓本の採り方も説明されていた。
読了日:08月28日 著者:藤澤 典彦,狭川 真一
護られなかった者たちへ護られなかった者たちへ感想
餓死?殺人?連続?いきなりの事件発生。犯人を予想できながら物語が進行。それにしても、生活保護受給申請の煩雑さや受給者の様子、受給できなかった者の生活の悲惨さには驚いてしまう。推理小説の体裁を取りながら日本の社会保障制度の実態を暴いている小説ではなかろうか。苦しい生活の中でも関わりのある人間を護ろうとする者、そんな人を護ろうとする者。政府の方針を受けながら、受給申請者や生活保護者の認定に携わる職員の大変さも感じた。早くから犯人を予想できたからと言って読むのをやめてはだめです。結末がこうなるとは!
読了日:08月26日 著者:中山 七里
六十六部廻国供養塔―「石に聴く」宮崎県の石塔採訪記六十六部廻国供養塔―「石に聴く」宮崎県の石塔採訪記感想
宮崎県内の六十六部廻国碑について調査されたもの。確認された碑の文面を写真だけでなく書き上げ、年代順にまとめたり、膨大な資料となっている。また廻国碑建立に伴う経費についても言及されていた。資料には宮崎県人が他国で建立した行者の名前や、県外廻国塔一覧の資料もあった。ただ、岡山県にも5塔とその場所まで示されているが、私の住んでいる同じ岡山県の新庄村内の3つの廻国塔は記載されていなかった。同一行者が複数の廻国碑を建立していることも資料からわかったが、新庄村内の廻国碑に見える行者名は見つけることはできなかった。
読了日:08月22日 著者:長曽我部 光義,押川 周弘
巡礼論集〈2〉六十六部廻国巡礼の諸相巡礼論集〈2〉六十六部廻国巡礼の諸相感想
六十六部廻国碑が村内に3基もあることから、その廻国というものがどのようなものかを少し知りたいものだと手にしてみる。表面を少ししか読めていない。中世のことを踏まえながら近世の様子をまとめられている。66ヶ国を巡礼し終えて満願成就の行列の様子や、66カ国の主な巡礼寺社の一覧、巡礼者の日記などの資料もあり、2年前後の巡礼期間の様子を伺うことができた。
読了日:08月21日 著者:
真実の檻真実の檻感想
TVドラマで警察・検察・弁護士ものをよく見る。この小説は読み応えがあった。立場が異なれば見える真実が違うともあったが、真実ってなんだろう。組織を守るために隠蔽のみならず、邪魔な存在を貶める? 99.9%を維持するために検察官が無罪判決を受けたら・・・。正義は何なんだろう?誰が守ってくれるのか。遺品整理から学生の石黒洋平が真実を突き止めるために行動する。死刑執行、冤罪、時効など絡めながら、真実は何かが追求されていく。後半は息衝く間もなかった。最後の選択は自分もできただろうか?
読了日:08月19日 著者:下村 敦史
ののはな通信ののはな通信感想
久しぶりに三浦しをんさんの本。お嬢様学校のののとはな。 友達以上の関係での往復書簡。決別した時期も経て、メールで交流し始めます。何気ない日常生活や自分の思いを、交流し合えるなんて素敵です。私の近くでも生活や思いを友達と往復書簡してる人をみてると羨ましい。ののとはなも幸せな生活を送れていると感じます。作中に「自分以外のだれかのために生きてこそ、「生きた」という実感を得られる」とか「一番大切なのは記憶です。いつも私の中にあって、好きな時に取り出し、眺めたり耳を傾けたりすることができる」
読了日:08月14日 著者:三浦 しをん
じっと手を見るじっと手を見る感想
介護士の仕事の大変さを改めて感じる。その大変な生活をどうリセットしていくのか。スキルアップしてケアマネージャーなどを目指す努力も大変なことだ。しかし介護により体を壊してしまうのも不幸だ。今後とも需要は高まるばかり、介護士の増加が追いついてない。日奈と海斗の間に入ってきた宮澤のことは、後半でその内面も描かれたものの、日奈にとってかなりの回り道になったように思う。歩んでいるうちは誰しもそうは感じないんだろうけど。海斗とやり直せそうでホッとする。
読了日:08月05日 著者:窪 美澄
宇喜多の楽土宇喜多の楽土感想
直木賞候補作になったので読む。久しぶりの歴史物。宇喜多秀家が父親の思いを受け継ぎながら、民のための楽土を守ろうとする姿が描かれていた。豪姫に貝合せを託しながら、決戦に臨んでいく。関ヶ原の合戦で周りが家康になびいていく中で最後まで立ち向かう姿は凄い。「生きて戻ってきて」という豪姫の願いを拒絶し負け戦の中、周りの力により生き延びる。多くの家来をなくしながら自分が生きていることの苦悩が感じられる。八丈島送りになってからも、豪姫からの救いも拒絶する秀家の心情と貝合せが絶妙な場面を描いていた。
読了日:07月31日 著者:木下 昌輝
石造供養塔論攷石造供養塔論攷感想
中世の石造供養塔の項に、最近訪問した「伯耆赤崎塔」の宝篋印塔、五輪塔など形や大きさなどで分析されていた。専門書なので六十六部供養塔の章を主に読む。これも東日本まとめであった。石に刻まれる文字の類型とその割合など詳しく分類されていた。その土地の願主に請われて造立された物が多い。廻国した証の納経受取状と埋経の願文が埋葬されているなど66カ国廻国が確認できる例は2%の13例だったという。年代判明する廻国供養塔は1700年頃から1860年代頃までの679例だったという。
読了日:07月17日 著者:池上 悟
破滅の王破滅の王感想
日中戦争〜太平洋戦争の時期の日本軍は中国人捕虜を「丸太」と呼んで、細菌兵器の人体実験をしていたという七三一部隊のことを書籍等で知ってた。医学・薬学に携わる人たちが戦争の真っ只中で、どう関わっていったか。精神的苦痛は酷いものであったろう。細菌治療薬を開発するのか、しないままばらまくのか。犠牲者の範囲はどうなるのか。秘密の細菌兵器とするのか、倫理に基づいて行動するのか。日本、中国だけに留まらず、ドイツまで舞台が広がっていった。映画などで多くの人たちに広めてもらいたいものだ。
読了日:07月15日 著者:上田 早夕里
傍流の記者傍流の記者感想
同期の新聞記者たちを中心に、展開していく。新聞記者の置かれた苦悩が描かれていく。他の者よりも上に立ちたい、表彰に値する記事を書きたい。そんな中で。ガセネタを掴んでしまったり、上から潰されたり、更には社会部と主導権争いをする政治部との関係でうまく行かなかったり。思うように記事が書けず、また力があっても短期間で社を去っていくもの。マスコミの最前線で働く記者の社内や家庭での苦悩も描きながら、社会をあるいは政治を正していこうとする記者の姿勢には大いに期待したい。
読了日:07月04日 著者:本城 雅人
長く高い壁 The Great Wall長く高い壁 The Great Wall感想
日中戦争で万里の長城「張飛嶺」に従軍した流行探偵作家の小柳逸馬が目にした光景から、その事件の真相が探られていく。日中戦争中の日本軍のことは未だに十分に明らかにされていないように思う。歴史教科書でも日本、中国、韓国でその記述は随分違っているようだし、日本の教科書も揺れてきた。本作では小柳が関係者を取材しながら、日中戦争での兵隊の置かれた状況や中国人の様子が描かれている。軍に都合の悪いことは伏せられていく。被害を声高に言うだけでなく加害も明確にできる日本であってほしい。
読了日:07月03日 著者:浅田 次郎
ファーストラヴファーストラヴ感想
父、母、娘・環菜の関係が、ある事件をきっかけに臨床心理士・真壁由紀がその背景に迫っていく。「愛とは見守ること」「親御さんが先回りしすぎることで、本人の自主的な意思を奪ってしまっている場合がある」最初の方に出てきたこれらの言葉が、根底にあるように思う。環菜のみならず由紀にしても、異性との関係でのファーストラブはもちろんあっただろうが、親との間でのファーストラブが十分になかったのだろう。本当の愛情が大切だね。弁護士と心理士との連携や裁判の進行も興味深かった。
読了日:06月30日 著者:島本 理生
速読日本一が教える すごい読書術――短時間で記憶に残る最強メソッド速読日本一が教える すごい読書術――短時間で記憶に残る最強メソッド感想
学校時代国語嫌いの著者が速読日本一になったということで読む。小説を読んでいてもすぐにあらすじも何も忘れてしまう私。じっくり読んで感動もすることも多いのだが、妻とも読んでもすぐ忘れるのって読む意味があるのかな?なんてしばしば話します。速読を勧める本だったので、できるだけ速く読んでみる。印象に残ったのは、じっくりかけても忘れるのだし、繰り返すことが記憶に留めるのだから、三分の一で読んで3回繰り返す。読んたことを思い出したりシェアしたり体験したりなどのアウトプットが大切だと。
読了日:06月22日 著者:角田 和将
ウィステリアと三人の女たちウィステリアと三人の女たち感想
記憶はある日誰かから届けられる大きさも形もうまく言えない「箱」だと。同窓会で人と会っても、自分の記憶は曖昧なのに人の方が自分のことをよく覚えていたりする。人と話しているときに何かのきっかけでまったく別のことを思い出したり。自分の不安から記憶の箱を大きくしたり歪にすることもあるのだろう。
読了日:06月22日 著者:川上 未映子
さざなみのよるさざなみのよる感想
ナスミ、変わった名だ。由来の場面が出て納得。名前が気に入らなくて夏美と名乗ったことも。14の話で描かれるナスミは、家族はもちろんナスミと関わった多く人に、たくさんの影響を与えている。大きな笑い声ですべてやり過ごしてしまう豪快さと、正義感に燃えて行動する律儀さ。自分の行動を押し付けるわけではないが、それによって心に大きく深く刻まれていくナスミ。話が進んでいくに連れてどんどんナスミに惹かれてしまう。「よいことも悪いことも受け止めて最善をつくすッ!」学びたいものです。
読了日:06月10日 著者:木皿 泉
スイート・ホームスイート・ホーム感想
阪急宝塚近くの小さな洋菓子店「スイート・ホーム」に関わる短編集。不動産のHPに連載されたものという作品だが、本当にスイートなホームが登場して来る。スイーツだけでも美味しそうで食べたくなってくるのに、登場人物がみな心暖かな人達。読んでいてホッとする。洋菓子店の家族それぞれの話や、そこに集う人たちの話で、その輪の中に入っていきたいものだ。でも、体重が落とせなくなっちゃいそうだ。
読了日:06月04日 著者:原田 マハ
錆びた太陽錆びた太陽感想
今、ロボットだとかAIが注目されており、戦闘用のロボットも開発されているとか。この本は原発で汚染された地域を巡回するロボットが登場する。事故でゾンビとなったもの、汚染で生体が変わっていく生き物。そして立ち入り禁止区域に政府が計画していくものは?国税庁からやって来た財護徳子とロボットたちとのやり取りの面白さで和らぐとはいうものの、原発の後がどうなっていくかの不安が募ってくる。ロシアでも30年以上立っても原発事故の後処理は完了していない。日本はどうなっていくのだ?
読了日:05月31日 著者:恩田 陸
日本人の知らない日本語3  祝! 卒業編日本人の知らない日本語3 祝! 卒業編感想
日本語学校の授業の中での体験から日本語が語られている。「日本語テスト」はわからないものも多かった。日本人でも知らない、わからないことも多くあった。「日本語テスト」を受けたら何級くらいを取ることができるのだろう?「貴方」「貴社」は丁寧な言い方なのに「貴様」は何をきっかけに「悪い」言葉になっていたのだろう。「お」もつけて丁寧になる言葉とそうでないものがあるって、外国の人にはわかりにくいものだろうね。1,2巻も機会があれば読んでみよう。
読了日:05月23日 著者:蛇蔵,海野 凪子
参勤交代道中記―加賀藩史料を読む参勤交代道中記―加賀藩史料を読む感想
加賀藩主の参勤交代の資料を基に、詳細な記述で大変参考になった。参勤交代で2,000人以上もの家来を連れて、その費用は資料をもとに計算して現在の5億円という記述に唖然としてしまう。また従者がなぜ規定の人数よりもはるかに増えるのかも示されていた。家来に対しての費用、道中での宿賃他の費用、江戸藩邸での費用、江戸城へ挨拶に行くときの将軍や家老への献上品、城内の各部所への手土産など莫大な経費だ。将軍が藩邸にお成りになるということで屋敷の普請を莫大な経費をかけてしたものの、翌年火災で灰と化した出来事に絶句。
読了日:05月08日 著者:忠田 敏男
白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険感想
◯と●がたくさん出てくる。順番により文字となり、古代〜の言語だとか、なんとなくわかるようでもあり、ほとんどわからない。でも、なんか面白かった。PCも0と1で動くという。それが文字、数字となり計算もできる。不思議なものだ。「自分の力の限界と、自分と他人に与えられた役割等考慮し、日々精進する」。AI、ロボット等話題になる中で、人間間だけでなくロボットとどう共存していくかがますます問われそうだ。ガレットのような人「魔術師」により進化しているんだよね。
読了日:05月07日 著者:川添 愛
昔話法廷昔話法廷感想
「三匹のこぶた」「カチカチ山」「白雪姫」子どもの頃読んだ昔話。当時はスッキリ納得してよかったよかったと思っていた話が、こんな法廷にかけられるなんて。いざかけられてみると、混沌としてくる。ぶた、ウサギ、白雪姫は犯罪者になるのか。こんな昔話が法廷の中で、裁判官、弁護人、検察官、そして裁判員を描く題材にできるのだから面白いものだ。読みながらそんな場面があったかなと記憶もあいまいなままメインの場面しか覚えていないことに気付かされる。
読了日:04月30日 著者:今井 雅子,イマセン
2択で学ぶ赤ペン俳句教室 (ヨシモトブックス)2択で学ぶ赤ペン俳句教室 (ヨシモトブックス)感想
プレバトの俳句コーナーで取り上げられたものを2択という形式でどちらが才能ありか才能なしか凡人か、などと考えながら読める。なかなか手強かった。半分も正解とならなかったような気がする。この中に初めて出会うたくさんの季語もあったし、夏井先生の説明になるほどと感じいる。俳句もたった17音とはいえ奥が深い。「に」を「の」「は」「や」と変えるだけでもずいぶんと印象も変わってくる、と。感情を映像に、シンプルに、オリジナリティ、季語を生かす、語順、17音でこんなにも考えるとは。
読了日:04月29日 著者:夏井 いつき
超辛口先生の赤ペン俳句教室超辛口先生の赤ペン俳句教室感想
再読になった。新鮮な気持ちで読む。何も身についていなかったということだね。「楽しくないと俳句じゃない!」「日本語の豊かさ美しさを愛してくれる人が一人でも増えること」を活動の基本においている夏井先生にエール!俳句はうまく作れないけど、楽しんでます。日本語の奥深さを感じてます。少しでも身についたら、いいのになぁ。
読了日:04月21日 著者:夏井 いつき
迷子の王様: 君たちに明日はない5迷子の王様: 君たちに明日はない5感想
優良・大企業が昨今、海外企業に身売りなど後を絶たない。日本企業はこれからが心配だ。連作物だが最近刊ということで読む。企業に代わって社員とリストラ話を進める会社を初めて知った。主人公の真介の対応の良さを終末で改めて感じた。「どんな人間の人生も、他人の人生の断片からなる集合体で成り立っている」という捉え方に初めてであった。自分は他の人にどんな断片を与えてきたのだろう。忘れていた自分の行動を同級生から聞き最近はっとしたが、そんな断片を集められたら、私はどんな人間なのか。これからの私次第か。
読了日:04月19日 著者:垣根 涼介
還暦川柳還暦川柳感想
「大事ならしまうな二度と出てこない」「宮仕え終えて始まる妻仕え」などの川柳とともに写真イラストもあり楽しく一気に読めた。ほとんどが共感できるものばかりで楽しいやら切ないやら。でもこういう川柳を作りながらも、「バラのよう枯れても妻はトゲを持ち」と言いつつも、連れ合いと楽しく過ごしているように感じる。「亡き妻に線香あげてプロポーズ」なんて泣けてくる。
読了日:04月18日 著者:公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
エレノア・オリファントは今日も元気です (ハーパーコリンズ・フィクション)エレノア・オリファントは今日も元気です (ハーパーコリンズ・フィクション)感想
久しぶりの翻訳本だったが、読みやすかった。エレノアの周囲との人間関係が築けないのはどうして?と思いながら、読み進める。専門書も読み、仕事のスキルもある。過去の生い立ちがしだいに明かされ、エレノアの生活スタイルになったようだ。周りからの揶揄にも挫けず、過ごす強さは素晴らしい。ひとり酒はいただけないが。しだいにレイモンドとの関係が築け始めて、明るくなっていく姿にホッとする。カウンセリングを受けながら、過去の母親との関係が明らかになっていきながら解き放されて、ホッとする。最後の母親の姿に、参りました!
読了日:04月13日 著者:ゲイル ハニーマン
自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語感想
主題や副題の「人工知能の意図理解をめぐる物語」は難しそう。が、11歳の勉強嫌いの王子が主人公で、最後まで面白く読めた。アニメなどになって子どもたちが見るのもよさそう。王子に下された命令を人形がどう受け取りどう実行するのか。思いもつかない人形の行動。人間が当たり前に思っていることを人形に実行させることがどれほど大変なことか、読んでいて納得。AIの進歩は目覚ましいが、その裏では多くの困難があることを感じた。人形を操ることで王子自身も成長していく姿も良く、物語の展開にもワクワクさせられた。
読了日:04月06日 著者:川添 愛
窓の向こうのガーシュウィン窓の向こうのガーシュウィン感想
エラ・フィッツジェラルドの「サマータイム」を何度か聞きながら、この小説を読む。未熟児として生まれ、大人になるまで周りに溶け込むこともできずに生活してきた。その心の内がこの曲とともに流れてくるようだ。蝶のようにひらひらキラキラ飛びたかったのかもしれない。心が安らげる先生の家で額縁づくりにも出会い、少しずつ窓の向こうを見ることができるようになったようで、ほっとする。ガーシュウィンはこの作曲者なんだ。宮下さんの表現力が曲と合わさって心に染みてくる。
読了日:03月30日 著者:宮下 奈都
春夏秋冬 雑談の達人春夏秋冬 雑談の達人感想
雑談の中に俳句のことがどのように描かれるのかと期待して読む。期待はちょっと裏切られたかな。でも日常生活の中に気づかずに使っている季語もたくさんあることがわかった。少しずつでも別の言い回しができるようになりたいものだし、季語に含まれる意味を理解していきたい。
読了日:03月22日 著者:堀本 裕樹
森へ行きましょう森へ行きましょう感想
507頁の小説。タイトル通りに私は森の中に入ってしまった。それも深い深い森へ。出口を楽しみに。どうも上手くくぐれなかった。留津はルツ、琉都、るつ、流津、瑠通、る津、と何種類もの書き方。皆さんはどう読むのだろう。一人の人間の中でも別人格かと思える多種の考えを持つことを描いているのだろうか。ある時点の選択によって別の道を歩むということもあるだろう。別の道を歩くことによって考え方もずいぶん異なっていく。そんなことなのか。「雑多」ファイル、「なんでも帳」は感情を記すのに面白そう。
読了日:03月20日 著者:川上 弘美
糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ感想
「牡丹餅、貫入、印花、見込み、糸切り」という5話はいずれも陶器に関わる言葉という。紅雲町の珈琲屋「小蔵屋」の杉浦草さんの周囲での日常。何にも起きそうにない雰囲気なのにヤナギの一角でのことが周囲の人との関わりの中で、組紐がゆっくり解けていくようで、小蔵屋でゆったり器を眺めコーヒーを飲みながら眺めているような感じだった。蝙蝠傘を手に歩き、穏やかな表情で、身近な縺れを見込み、そおーっと糸切りするように結末に。シリーズ4弾が作者との出会い第一となったが、また珈琲を飲ませてもらおう。
読了日:03月09日 著者:吉永 南央
五稜郭残党伝五稜郭残党伝感想
榎本武揚の五稜郭降伏の時に道内に投降を嫌った兵隊の物語。道東の別海町で昭和45年に発見された首無しの2体。百年から百五十年前の推定され作者が、残党兵だと推理したものという。五稜郭のときにその後、半年もの間、掃討作戦が続いていたのを初めて知った。アイヌからの搾取だけではなく、敵だったものが逃げたからといつまでも追い、斬首刑にしていったとはひどいものだ。その過程の中で、訳もなく殺されていったアイヌや和人たち。歴史の教科書では知りえなかったことを知れてよかったが、維新政府もかなり酷いね。
読了日:03月04日 著者:佐々木 譲
ソウルケイジソウルケイジ感想
姫川玲子の活躍。殺人事件は悲しいものだが、犯人の胸の内を考えるといたたまれない。それにしても、殺された人物の特定って大変な作業だ。2月のうちに読みきれないと諦めながら、今日の午後から続きを読み始めたが、一気に残りを読み切れた。暴力団、ヤミ金、フロント企業などと、狙われた者たちの悲劇と抵抗。地道な刑事たちの捜査の賜物だ。玲子の周りの人間関係も楽しませてくれた。
読了日:02月28日 著者:誉田 哲也
我ら荒野の七重奏我ら荒野の七重奏感想
楽しく読了。部活動の保護者会はいろいろ大変なこともあるようには思っていたが、この吹奏楽部の保護者は大変だ。それにしても、山田陽子さん、凄いね。頼もしい。敵に回したら、かなり厄介そうだけど。吹奏楽の演奏への保護者の関わり方の負担がこれほどあるとは思ってもみなかった。陽子さんも他を批判するだけでなく、よくぞここまでやったものだ。ゴルビーとその娘の最後の関係には思わず涙を誘われた。加納さんの他の作品も読んでみたくなった。陽子シリーズもできるといいかも。
読了日:02月25日 著者:加納 朋子
おらおらでひとりいぐもおらおらでひとりいぐも感想
2018年1月16日の史上2位の高齢で第158回芥川賞受賞ということで読む。東北弁も多く、わかりにくいところもいくつかあったが、方言故に、心の中の声が聞こえているようでよかった。古臭い考えや方言から逃げようともしていたのに。夫の周造を愛するがゆえに、自分を犠牲にする桃子。新しい生き方を求めていたのにと思い返す場面など、方言がよく響いてきた。周造を亡くしたときも。自分の考え、心の中の多くの自分と向き合っているのが、羨ましくもあった。一人でもこんなに多くの話ができるんだね。
読了日:02月23日 著者:若竹千佐子
屍人荘の殺人屍人荘の殺人感想
本屋大賞ノミネート10冊目。タイトルからして恐ろしそうな内容。殺人事件だけならドラマなどでもよく目にするが、こんなものまで出てくるとは。この手のものが出てくると、かなり引いてしまう。それは殺人犯も想定外だったのだろうが、それを利用した策はすごいと言えるのかも。それにしても面倒なトリックをやったものだ。解きほぐされていきわかった気にはなるが、面倒だ。ハウダニットも明らかになるが、果たしてあの関係性でここまでやれるのだろうか。身近な人がこの手の姿になった時に、エイッとやれるのだろうか。
読了日:02月22日 著者:今村 昌弘
ノーマンズランドノーマンズランド感想
姫川の活躍!過去に映像化された俳優が常に頭に浮かんできて、それはまた楽しめた。警察内の縄張り、北朝鮮拉致被害者と遺族、政治との関わり、検察官と、いろいろ絡んできて読み応えがあった。
読了日:02月16日 著者:誉田哲也
おもかげおもかげ感想
早々に、定年の日に倒れ意識不明になる主人公の竹脇。この先?そんな心配はなかった。意識のない竹脇の奥底の中で65年の人生が記憶の有無に関係なく走馬灯のように巡る。不幸と思える生い立ちながら、人にめぐり逢い、立派に人生を過ごしてきた。「貧しい家の子が金持ちの子に負ける理屈はない。親のない子が親がかりの子に負ける理屈もない。」「僕にとってのアリガトウゴザイマスは、感謝の言葉である前に、自分が生きていくために唱え続けなければならぬ、呪文のようなものだった」この言葉、誰にでも当てはまりそう。
読了日:02月12日 著者:浅田 次郎
銀河鉄道の夜銀河鉄道の夜感想
きれいな影絵が素晴らしい。苦学のジョバンニにとってカンパネルラの温かい接し方が嬉しいものだ。他の子どもたちのいじめの態度もカンパネルラの言葉で救われる。2人の銀河鉄道の旅での会話が心に響く。「お母さんは、きみがいるっていうことだけでしあわせ」。サソリ座のいわれから他のために尽くすことの大切さが伝わる。そのように生きたカンパネルラ。「世界ぜんたいが幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」という賢治の言葉はいつまでも実現できないのか。いや、自分は井戸に落ちたサソリの願いに近づけるのか。
読了日:02月10日 著者:宮沢 賢治
ふゆねこ (講談社の創作絵本)ふゆねこ (講談社の創作絵本)感想
ちさとのお母さんは早くに亡くなったところから始まる。病気?事故?星になったとお父さんから聞いても、その星も見つからないから寂しかったね。そんなときにふゆねこがやって来て、お母さんのやり残したことをしてくれた。さらに祖父母がお母さんがちさとへと願っていた白猫を届けてくれた。ちさともお母さんと関わるものと一緒に過ごせることで寂しさも和らぎそう。丁寧な優しい絵とともに。
読了日:02月10日 著者:かんの ゆうこ,こみね ゆら
崩れる脳を抱きしめて崩れる脳を抱きしめて感想
本屋大賞ノミネート9冊目。研修医ウスイと、脳に大きな爆弾を持つユカリとの淡い日々の物語。なんて思ってたら、ミステリーと発展し最後の最後まで楽しんだ。末期患者へのDNR(心肺蘇生をしない)の確認まで行われていた。余命数ヶ月の患者の日々の生活をどう過ごさせるか、今後も大きな課題だろう。もちろん患者自体がどう過ごしたいのかも。生きる意味があったのか、これからはあるのか。生きる意味を本人や周りの者がどう創造するのか。重篤患者のみならず、すべての人の明日の命の保証はない。さて私の生きる意味は?
読了日:02月08日 著者:知念 実希人
AX アックスAX アックス感想
本屋大賞ノミネートの8冊目。一流の殺し屋で恐妻家の兜。恐妻家を描く場面で殺し屋とのギャップがありすぎて笑えてしまうし、頷いてもしまう。殺し屋に指令を出す者とのやり取りも、張り詰めながらもどことなくユニーク。兜の人情深いところも味わい深かった。ターゲットのことやその理由を知る必要もないというのも分からないではないが、知りたかった。FINEの章は更に楽しめさせてもらった。いろいろ予想も立てながら読んだが見事に外れ、さすがそうきたか!
読了日:02月05日 著者:伊坂 幸太郎
騙し絵の牙騙し絵の牙感想
本屋大賞ノミネートの7冊目。大手出版社の雑誌編集長の速水。出版業界の低迷し廃刊が相次ぐ中で、上司の圧力を受けつつ速水が手腕を発揮するのに惹きつけられた。場の雰囲気を和らげ自らに引き付ける話術とパフォーマンスには、あてがきされただけあって場面が目に浮かぶようで楽しめた。出版業界、書店、電子版書籍、ネット通販、作家、二次製品など多くの関係が絡むことで、編集に携わる人の大変さが少しわかった。会社としての舵取りと社員、リストラなど抱える問題の大きさに改めて気付かされた。終盤でタイトルに納得、感動。
読了日:02月04日 著者:塩田 武士
みつけよう! ふゆ (みつけよう!) (みつけよう! 4)みつけよう! ふゆ (みつけよう!) (みつけよう! 4)感想
寒い冬、外に出たくないですね。我が家の方では雪に覆われています。でもこの絵本からは冬を見つけようと。春や秋を見つけようというのはよく聞くが冬を見つけようというのに初めて出会った。出不精になる子どもたちと、もちろん大人も、こんな冬をいっぱい見つける楽しさを味わいたいものです。よし、これからウォーキングに出てみます。
読了日:02月01日 著者:ビーゲン セン
おふくさんおふくさん感想
おふくさんたちの可愛いふっくら顔がいいですね。怖い顔の鬼さんをどうしたら笑わせられるかいろいろ考える。自分たちの幸せばかりでなく他人をも幸せに考えようとするところは、日常生活でも取り入れたいものです。おにさんって、どうして豆が嫌いなのかな?笑いながら読むことができて、おふくさんたちに感謝です。
読了日:02月01日 著者:服部 美法
くろねこかあさん (幼児絵本シリーズ)くろねこかあさん (幼児絵本シリーズ)感想
くろねこかあさんと、3匹のしろねこと3匹のくろねこ。赤ちゃんを産んだお母さんから黒猫3匹分が切り取られ、空いた穴が白猫3匹分に描かれるユニークさ。それに文章もぴったり。ほぼ同じ形の子猫たちだったが少しずつ違っていて、ペアを探し合うのも面白いかなと思う。最後の寝たところでやっと白猫にも目がついた。
読了日:02月01日 著者:東 君平
ねこのシジミ (イメージの森)ねこのシジミ (イメージの森)感想
捨て猫でも何とか人のうちで飼われてよかったね。でもシジミって面白い名前をつけられたものだ。我家の猫もそんなふうに言われてるのだろうか。シジミを藤崎さんって呼ぶお母さんの発想力はすごい!どんな思考回路なんだろう?あやかりたい。猫に起こされる場面で大笑いした。我が家も真っ先に起こされるのは私。妻は・・・。シジミのような活躍はないが、夫婦の会話のかなりの部分を猫が引き受けてくれている。
読了日:01月31日 著者:和田 誠
たゆたえども沈まずたゆたえども沈まず感想
多くの資料をもとに史実とフィクションを織り交ぜた本作にも圧倒される。ゴッホの生涯と日本人の画商との関わりなど、この作品で知ることができた。美術作品に対する当時の人々や画商の受け止め方によって、左右されてしまう。今では大変な価値だが生涯に1枚も売れてなかったとは。林忠正さんや重吉もなぜ売ろうとしなかったのだろう?価値をつけるのは一般の人というのも理解できるが、画商の見る目も影響をあたえると思う。ゴッホの絵がどうやって日の目を見るようになったのかも描いてほしかった。
読了日:01月31日 著者:原田 マハ
百貨の魔法百貨の魔法感想
星野百貨店の社是、heart,hope,healing,home(真心、希望、癒やし家庭)、がこの物語そのものである。特に第一幕「空を泳ぐ鯨」、第四幕「精霊の鏡」では感動で涙することが多かった。コンシェルジェ芹沢結子と白い猫の存在にわくわくさせられ、その他の百貨店に勤める人たちのお客様たちの話に感動をたくさんもらえた。「笑顔が一番の魔法なの」という言葉は心に留めたい。自分を幸せにするだけでなく、周りの人をも幸せにする魔法だ。修行をしなくても誰でもできる魔法。皆で魔法を掛け合おう!
読了日:01月29日 著者:村山 早紀
星の子星の子感想
本屋大賞ノミネート作ということで読む。病弱な子を元気にしたいということで、力のある水からしだいに何か宗教的なものにとらわれていく家族。親戚とも距離を取るようになり意見が耳に入らなくなっていく。子どもがその中に取り込まれていくのは、なんともいたたまれない。もっと自由にいろんなことができる環境をつくってもらいたかった。作品の意図を読みきれなかった。
読了日:01月24日 著者:今村夏子
キラキラ共和国キラキラ共和国感想
「ツバキ文具店」の続編、本屋大賞ノミネート作ということで楽しみに手にする。鳩子さんに家族ができてよかった。康成さんへの手紙とか、美雪さんへの手紙などには感動する。美雪さんをこんなふうに思えるって鳩子さんも本当にいい人だね。レディ・ババへのミツロー、QPちゃんの言葉に、ポッポちゃんも家族の大切さを改めて感じじたね。「目を瞑ってキラキラ、キラキラ」「自分が幸せになることで仕返し」「一生のうちに一人でも幸福にできたら自分は幸福」幸せがいっぱい詰まった小説だった!次作でレディ・ババさんも幸せにしてあげて。
読了日:01月24日 著者:小川 糸
さよなら、田中さんさよなら、田中さん感想
小学校4年、6年時の作品を改訂し、新たに書き下ろしてこれだけの小説が書けるなんて素晴らしい!将来が楽しみ。表題作は最後にあり同級生から見た主人公が描かれていた。それ以前の4つの章は田中花実さんが主人公。母子家庭で知りたいこともいっぱいありながら、母親のたくましく明るい生活ぶりに、楽しく過ごしている主人公が描かれていた。周りに迎合することなく人と接し力強く生きる姿が良かった。文章表現も豊かでとても中学生とは思えない作品に出会うことができた。
読了日:01月22日 著者:鈴木 るりか
ランニング・ワイルドランニング・ワイルド感想
呉市主催のアドベンチャーレースに出場した和倉たち。オリエンテーリングをしながらランニング、シーカヤック、バイクで制限時間のあるチェックポイントを通過して競う。開始間際の1本の電話から和倉には新たな試練も加わる。チームのキャップとして、そして個人としてどうメンバーや大会に臨むか。自らの職務との絡み。ゴールできるのか、要請に応えられるのか、家族は、職務は? 読みながらこちらまで息が上がってしまうようで楽しめた。
読了日:01月21日 著者:堂場 瞬一
ときどき旅に出るカフェときどき旅に出るカフェ感想
瑛子さんが訪れるようになった憩いのカフェ・ルーズ。店主・円さんの作る海外の飲み物やスイーツのあれこれ。この小説を読んでいるだけで飲み物や食べ物を頂いているようでホッとできてしまう。10のそれぞれの話は最後に解き明かされてスッキリと終わる。仕事にしても生活にしても、常識と思えることが、自分だけの狭い了見だということが多々あるということも感じた。幸せな生活ってどんな生活?人それぞれの幸せな生活の感じ方があるのだろうが。
読了日:01月16日 著者:近藤 史恵
漫画 君たちはどう生きるか漫画 君たちはどう生きるか感想
80年前に出版されたものが漫画として再登場というのもすごい。50年ほど前に私も原作を読んだこともあり、今回手にする。この漫画を多くの小中学生のみならず我々大人も味わいたいものだ。すべてが漫画ではなく、おじさんからコペル君への手紙やノートの文章は文字でしっかり記され、原作も大事にされている。多くの人との関わりの中で生き、過ちをしても正しい道に向かうこと、自分で自分を決定する力を持っていることなど、今の社会でも訴える力を持っている本だ。悩む子を優しく導くおじさんになりたいものだ。
読了日:01月15日 著者:吉野源三郎
ふたごふたご感想
作者のミュージシャンSEKAI NO OWARI のSaoriとしての活動もよく知らなかったけど、直木賞候補の作品ということで手にする。活動を始めるまでの様子や心の動きが、独特に表現されていた。ふたごと月島に言われてもそう思えない夏子。そう思えないと言われても一緒にいないと落ち着けない夏子。落ち込んでいる時の月島の言葉「いいじゃん、俺は寂しそうなやつって、魅力的だと思うよ」「仲良くなれるからさ」こんなふうにいえる月島はすごい。辛く思っている人にこんな素敵な言葉が言える人っていいなぁ。
読了日:01月14日 著者:藤崎 彩織(SEKAI NO OWARI)
神さまたちの遊ぶ庭神さまたちの遊ぶ庭感想
福井から北海道大雪山の近くのトムラウシに山村留学した宮下家族の1年間の軌跡。氷点下20度を度々下回る冬とか、最高気温が20度に達しない夏、数人のクラスの様子、作者だけでなく読んでいるものも驚きばかり。地区の人と一体となっている学校の楽しそうなこと。勉強も必要なことだが、大人と子どもが知恵を絞りながら充実した日々を過ごせるのは、とても素晴らしいことだ。生きる力はとても強い。よそから入ってくる人を受け入れる地域の人たちの包容力もすごいものだ。
読了日:01月11日 著者:宮下 奈都
ホワイトラビットホワイトラビット感想
なかなか乗れなかった。後からあれは、この人は、なんて出てきて、面白さを感じる前に冷めてしまった。何とか最後までは目を通す。
読了日:01月08日 著者:伊坂 幸太郎
彼方の友へ彼方の友へ感想
感動しながら読み終えた。戦前戦後を通して女性雑誌を関わり続けてきた佐倉ハツ(波津子)の熱い胸の内がよく伝わってきた。目に見えない多くの読者を「彼方の友」として、戦中の苦難の中でも「友へ、最上のものを」と夢を与え続けた。雑誌の付録であったフローラ・ゲームのカードや、波津子の親しむ言葉遊びの音符が、物語の中で波津子らの心の思いを強く印象づけていた。戦争による文芸への圧力、出兵によって多くの人材の消失の中でも「友」を力づけようとする波津子らに胸打たれる。最後の音符やペンに涙腺は緩むばかり。
読了日:01月06日 著者:伊吹 有喜

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