3月の読書記録~11冊、3433頁(110頁/日)

1 4月

3月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3434
ナイス数:482

共犯共犯感想
過去の少女連続殺人事件の犯人に対してマスコミ報道に煽られた周囲の人の目は厳しく、その後の家族は悲惨なものであった。少女誘拐事件をきっかけに物語は意外な方向に向かっていく。過去の事件とのつながりは、何か引っかかるところが。真実が曲げられ、冤罪で長く苦しむ本人や家族、事実かわかっても警察や司法もそれほどの責任も取らず、マスコミに至ってはその時々をセンセーショナルに報じるばかりで自らの責任を顧みない。最後の最後まで真相が二転三転と面白く読めた。
読了日:03月31日 著者:深谷忠記
救いの森救いの森感想
「児童救命士」新米の長谷川とその相棒で指導者?の新堂を中心とした「児童保護署」の物語。子どもたちが命の危険などに遭遇したときに使用する「ライフバンド」が登場する。最近の保護者による虐待やいじめによる自殺者がなかなか減少しない状況の世の中にはこのようなシステムが必要に思う。でも職員の配置には厳しいものもあるようで、システムだけでなくそれを機能させる人材増員も求められるようだ。子どもたちの厳しい家庭や学校の状況とともに長谷川や新堂自身の過去も描かれ読み応えのある小説だった。
読了日:03月30日 著者:小林由香
ゆえに、警官は見護るゆえに、警官は見護る感想
刑事ものの小説もときに読んでるが、これは一味違っていた。今までのものは格好良くビシッと事件解決まで行くのだが、この初読みの作家さんのは異なっていた。留置場の様子がよく描かれた。留置担当官・武本の留置人へ感じる疑念をうまく描いていた。お坊ちゃん警視の潮崎、財務捜査官の宇佐見さらに正木星里花巡査の3人の掛け合いの面白さも、ひどい事件を追いながらも和ませるものとなった。東北の震災が千葉の方でも大きな被害を出していることにも改めて感じさせられた。事件解決へどう収束するのか最後まで楽しめた。
読了日:03月28日 著者:日明 恩
棲月: 隠蔽捜査7棲月: 隠蔽捜査7感想
大森署長・竜崎の仕事ぶりがいいね。上に媚びず下にも偉ぶることもなく、事件解決に向けて真摯に立ち向かう姿に惹かれる。いじめとサイバーテロ。ますます増えていきそうで気になるところだが、それらの事件をうまく収束させていった。署員の能力を最大限に引き出し自分も学ぶという考え方が、書院をひきつけても行くのだ署員を惹きつけてもいくのだろう。展開も早くほぼ一気に読むことができた。自作も大いに期待したい。
読了日:03月24日 著者:今野 敏
それまでの明日それまでの明日感想
初読みの作家。探偵事務所の沢崎の警察をも手の内で動かしているようで面白かった。融資が内定している料亭の女将の身辺調査の依頼をされ、なんでもない調査が、次々と思わぬことにも巻き込まれていき、どう繋がり収束していくのか、楽しめた。依頼人の意図がこんなところにあったとは。それにしても金融、暴力団などの世界は見えにくいものだ。小気味良い女将さんの対応は凄いね。
読了日:03月23日 著者:原 りょう
ゼロトレゼロトレ感想
体のポジションをゼロに戻すことの大切さとそのトレーニング法が書かれていた。「羽が生えたように軽くなる」の副題に魅せられた。毎年のように身長が縮んでいるのも脚などの筋が固くなっていることが原因だといわれ、はっとする。呼吸法と股関節周り・太腿のストレッチ、かかとに重心を置くというのも今まで意識していなかった。筋を伸ばすことで羽が生えたように軽くなるのなら、普段の生活で意識してみようっと。他人を意識せずに自分の体や心の持ちようをゼロポジションに戻すことを意識したい。
読了日:03月23日 著者:石村友見
七つの会議七つの会議感想
企業の利益拡大のためにノルマを押し付けられる社員。会社の中で少しでも上に上がろうとする中で、不正に手を染めていく社員。不正に気づきながらも会社を守るため隠蔽工作。今の企業や政治の中でも数字をすり替え誤魔化し、よく見せようとすることが話題となる。たった一つの小さなネジ。それがとんでもない事故をも引き起こすかもしれないということに恐れを抱く。社内外への告発によって救われた。安心安全を第一にして利益を求めてもらいたいものだ。それを指摘できる人でいたいものだ。
読了日:03月16日 著者:池井戸 潤
真夜中の子供真夜中の子供感想
無戸籍児童、今までほとんど意識してこなかったことを改めて気づかされた。蓮司に戸籍を与えるためには多くの壁があった。厳しい境遇の中で生き抜いていく蓮司の逞しさに胸が詰まる。彼を何気なく支える中洲の人々の心優しさ、彼にしだいに惹かれる緋真。物語は重いテーマでありながらも、人々の温かい眼差しの中で、心揺すぶられた1冊だった。終盤の2つの家庭の真実に驚かされた。蓮司がこれからも中洲で一人前になっていけそうでよかった。緋真の思いを受け止めれる大人になってくれよ。
読了日:03月13日 著者:辻 仁成
発現発現感想
亡霊、統合失調症、トラウマ、遺伝? 何とも心がざわついた。敗戦間近の満洲での回想、昭和40年と平成30年。世代をまたがって話が進んでゆく。まもなく平成が終わろうとする今、昭和はまた遠くなっていく。この小説は忘れちゃならないんだよと言っているようでもある。私も父から戦争中の話はほとんど聞いていない。中国・北朝鮮・韓国と今後とも繋がって行くためにも日本国民だけが知らないでは困る。DNAが共通の彼岸花を造形が素晴らしくきれいだと見続けることができますように。
読了日:03月11日 著者:阿部 智里
山猫珈琲 上巻山猫珈琲 上巻感想
どんなエッセイなんだろうと思いつつ読み始める。嘘ばかりで書く小説よりも本当のことを書くエッセーは難しいと最後の方で述べていたが、楽しませてもらいました。「女子会?」「山に登りたくなったから山を舞台にする小説を書く」「『高級』そうめんは嫌い?」など過去の体験などを知ることができ、「イヤミスはちょっと…」と思っていた私も意外に思うことも多く、親近感がわきました。十数回目の娘さんの誕生日に、娘さんから言われた「出産記念日だから」には感動しました。いい子育てもできていたんですね。
読了日:03月06日 著者:湊 かなえ
13階段13階段感想
読み応えのある本。日本の司法・刑罰について考えさせらた。無期懲役ってそんなこと? 再犯率がほぼ50%?! 仮出所の三上純一と刑務官南郷が依頼されて冤罪を防ぐための調査で次第に明らかになっていく様子に惹きつけられた。死刑が実際に執行されるシーンなどでは刑務官の心の負担も凄いものだろうと想像できた。南郷が尾行をまく手口が痛快、こんな役割があったのかと。13階段も処刑台かと思って読んでいたが、それは別のことであった。それにしても真相はうまいこと潜んでいたものだ。
読了日:03月05日 著者:高野 和明

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